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ダンテの新生の対極

## ダンテの新生の対極

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ジョヴァンニ・ボッカッチョ『デカメロン』

**内容と主題:** 14世紀イタリアのペスト禍から逃れた男女10人が、10日間にわたって語る100の物語集。恋愛、機知、冒険、人間の欲望や欺瞞など、現世的なテーマを扱い、ペストによる社会と道徳の崩壊を背景に、人間の生の肯定を謳いあげている点が特徴です。

**ダンテ『新生』との対比:**

* **愛の捉え方:** 『新生』は、ベアトリーチェへの崇高な愛を通して神へと昇華していく過程を描写するのに対し、『デカメロン』では、肉体的欲望も含めた多様な恋愛模様を肯定的に描き、人間的な愛の在り方を提示しています。
* **世界観:** 『新生』は、中世的なキリスト教的世界観に基づき、天国、煉獄、地獄といった霊的な世界を描写するのに対し、『デカメロン』は、ペスト禍という現実を背景に、現世的な世界観と人間中心主義的な視点を提示しています。
* **文体:** 『新生』は、韻文を用いた叙情的な文体で書かれているのに対し、『デカメロン』は、口語的な散文を用いた写実的な文体で書かれています。

**歴史的背景:**

* **ペスト禍の影響:** 『デカメロン』は、1348年にイタリアを襲ったペスト禍(黒死病)を背景に書かれました。ペストによる社会と道徳の崩壊、死の恐怖といった状況が、作品の主題や世界観に大きな影響を与えています。
* **ルネサンスの萌芽:** 『デカメロン』は、中世的な価値観から人間中心主義的な価値観へと移行していくルネサンス期の萌芽を象徴する作品とされています。

**影響:** 『デカメロン』は、その後のヨーロッパ文学に多大な影響を与え、チョーサーの『カンタベリー物語』やシェイクスピアの戯曲など、多くの作品に影響を与えました。

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