## ダンテの天国篇の対称性
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構造上の対称性
「天国篇」は、「地獄篇」「煉獄篇」と同様に33歌からなり、これに序歌を加えて全34歌で構成されています。この構成は、三位一体と関連付けられており、3という数字が象徴的に用いられています。
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天球構造と美徳の階層
「天国篇」では、地球を取り巻く九つの天球が登場し、それぞれに異なる天使の階級と対応する徳が割り当てられています。この階層構造は、下位の天球から上位の天球へと進むにつれて、神の光と愛が増していくことを示しています。
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ベアトリーチェの存在と役割
「天国篇」では、ベアトリーチェがダンテを導く役割を担っています。彼女は地上における愛の象徴であると同時に、天上における神の叡智を体現する存在としても描かれています。ダンテが天国を上昇していく過程は、ベアトリーチェへの愛を通して神の愛へと昇華していく過程と重ね合わせることができます。
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光と視覚イメージの対比
「天国篇」では、光が重要なモチーフとして繰り返し登場します。天国はまばゆい光に満ち溢れた世界として描写され、ダンテの視覚も天上世界に近づくにつれて強化されていきます。この光の表現は、神の栄光と恩寵を象徴しており、「地獄篇」の暗闇との対比によって、天国の神聖さがより強調されています。