ターナーのフロンティアの技法
アメリカの史学における「フロンティア」概念の提唱者として知られるフレデリック・ジャクソン・ターナーですが、その歴史叙述はどのような技法に基づいていたのでしょうか。
ターナーは歴史学において、従来の手法とは異なる新たなアプローチを採用しました。それは、一次資料を重視した実証主義に基づく歴史記述です。彼は、フロンティアにおける開拓民の日記、手紙、政府の記録、探検家の報告書など、膨大な量の一次資料を渉猟し、そこから直接的に歴史を読み解こうとしました。
特に注目すべきは、彼が地理的要因を重視していた点です。彼は、アメリカのフロンティア、すなわち未開拓の辺境地域が、アメリカの国民性や社会構造を形成する上で重要な役割を果たしたと論じました。そして、フロンティアの地理的条件と、そこに暮らす人々の生活様式、社会構造、価値観との関連性を詳細に分析しました。
ターナーは、一次資料の綿密な分析と地理的要因の重視という、当時としては革新的な手法を用いることで、アメリカ史の新たな解釈を提示しました。彼の著作は、その後のアメリカ史研究に多大な影響を与え、「フロンティア学派」と呼ばれる歴史学の一派を生み出すことにも繋がりました。