## タキトゥスのゲルマニアの原点
執筆の時期
タキトゥスの『ゲルマニア』がいつ書かれたのか、正確な年は分かっていません。しかし、本文中の記述から、98年という説が有力視されています。
執筆の背景
98年は、ローマ皇帝ネルウァが死去し、トラヤヌスが皇帝に即位した年です。トラヤヌスはゲルマニア方面への遠征を計画しており、『ゲルマニア』はその準備として書かれたという説があります。
情報源
タキトゥス自身がゲルマニアを訪れたという記録はありません。『ゲルマニア』の情報源として、以下のものが考えられています。
* **先行する文献:** 大プリニウスの『博物誌』や、アウグストゥス帝時代に活躍した地理学者ストラボンなどの著作を参考にしていると考えられます。
* **口伝情報:** ゲルマニアに赴任していた役人や、交易などでゲルマニア人と接触のあった人々から情報を得ていた可能性があります。
* **公式文書:** ローマ政府が保有していた、ゲルマニアに関する報告書や記録などを参照していた可能性も考えられます。
史料としての価値
『ゲルマニア』は、1世紀末のゲルマニア社会に関する貴重な情報を提供しています。しかし、タキトゥス自身の偏見や、伝聞情報に基づく不確かな記述も含まれているため、注意深く読み解く必要があります。