## タキトゥスのゲルマニアのメカニズム
### 1. 叙述の構成
「ゲルマニア」は、大きく2つの部分に分けて考察することができます。
* **前半部(1~27章):** ゲルマン民族の起源、地理、風俗、習慣、社会制度などを記述しています。
* **後半部(28~46章):** 個々の部族について、地理的な位置や特徴、風習などを詳しく解説しています。
### 2. 情報源
タキトゥスは、「ゲルマニア」を執筆するにあたり、複数の情報源を用いたと考えられています。
* **先行する文献:** 大プリニウスの「博物誌」、ポンポニウス・メラの「地理誌」、あるいはアウグストゥスの「業績録」などが挙げられます。
* **口頭の情報:** ゲルマニアに赴任した経験のある軍人や商人などから、直接情報を収集した可能性があります。
### 3. 記述の目的
「ゲルマニア」の執筆目的については、いくつかの説が提唱されていますが、明確な結論は出ていません。
* **ローマ人への教訓:** ゲルマン民族の長所(質実剛健さ、勇猛さなど)を強調することで、退廃しつつあった当時のローマ社会への警鐘としたとする説。
* **政治的な意図:** ゲルマン政策を推進するために、ゲルマン民族に関する情報をまとめたとする説。
* **民族誌的な関心:** 単に異民族であるゲルマン民族への学術的な興味から執筆されたとする説。
### 4. 表現技法
「ゲルマニア」では、タキトゥスの巧みな表現技法が随所に見られます。
* **対比:** ローマとゲルマン、あるいはゲルマン民族内の部族同士を対比させることで、それぞれの特性を際立たせています。
* **逸話:** ゲルマン民族の気質や風習を象徴するようなエピソードを挿入することで、読者の興味を引くとともに、内容の理解を促しています。
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読書意欲が高いうちに読むと理解度が高まります。