## ソフォクレスのオイディプス王の感性
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運命への抵抗と諦念
オイディプスは、自身がテーバイにもたらすことになる悲劇の預言から逃れようと、生まれた故郷コリントを離れます。これは運命に抗おうとする人間の意志の強さを表しています。しかし、皮肉にもその行動自体が預言の実現へと繋がってしまう。自らの意志とは無関係に運命に翻弄されるオイディプスの姿は、古代ギリシャの人々が抱えていた運命に対する畏怖と、抗えない力への諦念を反映していると言えます。
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真実への執着と恐怖
オイディプスは、テーバイを救うべく、街を襲う疫病の原因究明に乗り出します。その過程で、自身が預言で告げられた「父を殺し、母と結婚する者」という恐ろしい真実に近づいていきます。真実を知ることへの恐怖を感じながらも、同時に真実を明らかにしたいという強い意志と知性を見せるオイディプスの姿は、人間の持つ複雑な内面を浮き彫りにしています。
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自己認識と罪の意識
物語の終盤、オイディプスは自らの罪と向き合い、自ら目を潰すという衝撃的な行動に出ます。これは、自らの犯した罪の大きさを認識し、その罪に対する罰として自らに課した苦行であると同時に、自らの無知と運命の残酷さに対する絶望の表れとも言えるでしょう。オイディプスの自己認識と罪の意識は、古代ギリシャにおける倫理観や、人間存在の根源的な問題を提起するものでもあります。