ソシュールの一般言語学講義の感性
ソシュールの記号論における感性の位置
ソシュールの『一般言語学講義』は、言語学のみならず、20世紀の思想界全体に多大な影響を与えた著作として知られています。しかし、この著作において「感性」が主題的に論じられているわけではありません。ソシュールは、言語を恣意的な記号の体系であると捉え、「記号の能記と所記の関係は恣意的である」と主張しました。これは、言葉とそれが指し示す対象との間には、必然的な関係は存在せず、あくまで社会的な約束事として結びついているということを意味します。
言語活動における感性の排除
ソシュールは、言語体系(ラング)とそれを用いた個人的な言語活動(パロール)を明確に区別し、言語学の対象は前者であるとしました。そして、言語記号の恣意性を強調することで、言語活動における個人の主観や感情、感覚といった要素を排除しようとしたと言えるでしょう。
ソシュールにおける感性の不在
『一般言語学講義』は、あくまで言語記号の体系的な分析を目的とした著作であり、感性や感情といった問題は考察の対象外とされています。