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ソシュールの一般言語学講義

ソシュールの一般言語学講義

言語活動 (langage), 言語 (langue), ことば (parole)

ソシュールは、言語現象の全体を指す「言語活動 (langage)」を、さらに3つの要素に分類しました。それが、「言語 (langue)」、「ことば (parole)」、そしてその二つの間の領域です。

* **言語 (langue)**:ある特定の時点における、ある言語共同体全体に共通する言語体系。社会的な側面を持ち、個人によって変更することができない。文法規則や語彙など、言語の抽象的なシステムと言える。
* **ことば (parole)**:個人が実際に行う具体的な言語行為。発話や筆記などを通して実現される。個人によって異なり、その場の状況や話し手の意図などによって変化する。
* **言語 (langue) とことば (parole) の間の領域**: 個人の発話や筆記は parole に属するが、その中には langue に基づいた要素も含まれている。

記号の恣意性

ソシュールは、言語記号は恣意的なものであると主張しました。これは、記号とその記号が指し示す対象との間に、必然的な関係は存在しないということを意味します。

例えば、「arbre」という音の連なりと「木」という概念を結びつける必然性はありません。他の言語では、「tree」や「木」など、全く異なる音の連なりが「木」という概念を表しています。

ただし、完全に恣意的であるというわけではなく、ある程度の動機づけが存在することもソシュールは認めています。例えば、「擬声語」や「擬態語」は、ある程度対象の音や動作を模倣しているため、完全に恣意的とは言えません。

記号の差異性

ソシュールは、言語記号は他の記号との差異によってのみ意味を持つと主張しました。これは、ある記号を理解するためには、それが他の記号とどのように異なるかを認識する必要があるということを意味します。

例えば、「chat」という単語は、それ自体に「猫」という意味を持っているわけではありません。「chien」(犬)、「oiseau」(鳥)など、他の単語と異なる音の連なりを持つことで、「猫」という意味を持つようになっているのです。

共時態と通時態

ソシュールは、言語研究には二つの視点が必要であると主張しました。

* **共時態 (synchronic)**:ある特定の時点における言語の状態を研究する視点。言語システムの内的構造を分析することを目的とする。
* **通時態 (diachronic)**:時間の流れに沿って言語の変化を研究する視点。言語の歴史的な変遷を明らかにすることを目的とする。

ソシュール以前の言語学は、主に通時態的な研究が中心でした。しかし、ソシュールは、言語のシステムを理解するためには、共時態的な視点が不可欠であると主張しました。

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