## スラッファの商品の商品による生産の対称性
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スラッファ体系における対称性の概念
ピエロ・スラッファの『商品による商品の生産』は、レオン・ワルラスに始まる限界革命の経済学とは一線を画す、古典派経済学の伝統を受け継ぐ分析体系を提示しました。スラッファ体系の特徴の一つに、その対称性があります。これは、生産体系における様々な要素間の相互依存関係を、均等な立場から捉えようとするものです。
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投入と産出の対称性
スラッファ体系では、生産プロセスは投入と産出の関係として捉えられます。各産業は、他の産業から原材料や資本財などの投入物を得て、自らの産出物を生産します。この時、ある産業の産出物は、他の産業の投入物となります。例えば、鉄鋼産業の産出物である鉄鋼は、自動車産業の投入物として使用されます。
スラッファ体系の特徴は、この投入と産出の関係が、すべての産業間で相互的に成立している点にあります。それぞれの産業は、他の産業の産出物を投入物として使用し、自らの産出物を他の産業に供給する、という相互依存関係の中に位置づけられます。
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価格決定における対称性
スラッファ体系では、価格決定もまた、この投入と産出の相互依存関係に基づいて説明されます。各産業の産出物の価格は、投入物の価格と生産技術によって決定されます。そして、投入物の価格は、その投入物を生産する産業の産出物の価格によって影響を受けます。
このように、価格決定においても、各産業は相互に依存しあっています。ある産業の産出物の価格変動は、他の産業の投入物価格に影響を与え、最終的には経済全体に波及していくことになります。
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分配と価格の関係における対称性
スラッファ体系では、利潤率は外生的に決定されると仮定されています。そして、賃金率は、利潤率と生産技術によって決定されます。この賃金率は、すべての産業で均等であると仮定されます。
この時、利潤率の変化は、賃金率と価格の関係に影響を与えます。利潤率の上昇は、賃金率の低下をもたらし、相対的に資本集約的な産業の産出物価格を低下させます。逆に、利潤率の低下は、賃金率の上昇をもたらし、相対的に労働集約的な産業の産出物価格を低下させます。
このように、スラッファ体系では、分配と価格の関係もまた、対称的な形で捉えられます. 利潤率の変化は、賃金率と価格の関係に影響を与え、その影響はすべての産業に波及します。
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対称性の意義
スラッファ体系における対称性は、経済を構成する様々な要素間の相互依存関係を明確にする上で重要な役割を果たしています。この対称性によって、経済システムを、個々の要素の独立した動きではなく、相互に影響を与え合う関係性のネットワークとして捉えることが可能になります.