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スミスの道徳感情論の美

## スミスの道徳感情論の美

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美の起源

アダム・スミスは『道徳感情論』の中で、美の起源について深く考察しています。彼は、我々が美しいと感じる対象は、それ自体に固有の性質を持っているのではなく、人間の心に快を呼び起こす性質を持っていると主張します。

スミスは、快の源泉として、有用性、新規性、偶然性などを挙げ、それぞれがどのように美の感覚に貢献するかを詳しく説明します。例えば、有用な物は、それが私たちの生活を豊かにし、快適にするため、好ましく感じられ、結果として美しく見えることがあります。一方、今まで見たことのないものや、予想外の組み合わせを持つものは、私たちの好奇心を刺激し、新鮮な喜びを与えることで、美の感覚を生み出すことがあります。

しかし、スミスは、美の感覚を単なる感覚的な喜びや有用性の認識に還元することはありません。彼は、人間の心には、秩序、調和、均整といったものを好む自然な傾向があると主張します。私たちは、複雑な構造の中に秩序を見出し、多様な要素が調和して一つにまとまっているのを認識した時に、深い美的満足感を覚えます。

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共感と美の判断

スミスは、美の判断において「共感」が重要な役割を果たすと考えました。私たちは、美しい対象を観察するだけでなく、その対象を創造した人の心の状態を想像し、共感しようとします。

例えば、絵画を観賞する場合、私たちは単に色彩や構図を楽しむだけでなく、画家がその作品に込めた感情や思想を理解しようと努めます。そして、画家の意図や感情に共感できた時に、その作品はより深く心に響き、より美しいと感じられるようになります。

スミスは、この共感の能力が、人々の間で美の判断を共有することを可能にすると考えました。私たちは、他の人々が美しいと感じるものに共感することで、共通の美的基準を形成し、文化や社会の中で共有される美意識を育んでいきます。

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