スミスの国富論を読んだ後に読むべき本
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資本論
アダム・スミスの**国富論**は、経済学の古典として、現代経済の基礎を築いた金字塔です。出版から200年以上経った今でも色褪せないその洞察力は、自由市場の原理、分業の効用、そして国の富の源泉について深く考察させてくれます。しかし、スミスの理論は、産業革命の黎明期という特定の時代背景の中で生まれたものであり、その後の社会経済の変遷、特に資本主義の隆盛とそれに伴う貧富の格差拡大といった問題点については、十分に予測しきれなかった側面もあります。
そこで、スミスの**国富論**を読んだ後に、ぜひ手に取っていただきたいのが、カール・マルクスの**資本論**です。 **資本論**は、スミスが唱えた自由競争に基づく資本主義経済が必然的に生み出す矛盾、すなわち資本家階級と労働者階級の対立と搾取の構造を鋭く分析し、資本主義社会の未来について独自の視点を提示しています。
**国富論**が、自由放任主義的な経済政策の根拠となったのに対し、**資本論**は、マルクス主義経済学の基礎となり、社会主義や共産主義といった思想運動に多大な影響を与えました。両書は、資本主義経済に対する全く異なる視点を与えてくれます。**国富論**を読むことで、自由市場のメカニズムとその恩恵について理解を深めることができます。
そして、**資本論**を読むことで、その裏側に潜む矛盾や問題点、そして資本主義が孕む限界について、批判的な視点を養うことができるでしょう。