## スミスの国富論とアートとの関係
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芸術の生産性について
アダム・スミスは、1776年に出版された著書『国富論』の中で、芸術について直接的に論じた箇所は多くありません。彼は同書において、国民の経済活動を「生産的労働」と「非生産的労働」に分類し、富を生み出す前者を重視しました。
スミスは、生産的労働の定義として「有形の物財を生み出し、その価値を後世に残せる労働」を挙げ、農工業に従事する労働者を例に挙げています。一方で、非生産的労働は「瞬間的なサービスを提供するのみで、後世に価値を残せない労働」と定義され、家事労働者や弁護士、医師、そして役者や音楽家といった芸術家などがその例として挙げられています。
この定義に従えば、芸術家の労働は非生産的となり、国の経済成長には直接的には貢献しないとみなされます。