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スピノザのエチカを読んだ後に読むべき本

スピノザのエチカを読んだ後に読むべき本

ジル・ドゥルーズ『スピノザ―実践の哲学』

ドゥルーズの主著の一つであり、難解で知られる本書は、スピノザ哲学の核心に迫りつつ、その現代的な意義を鮮やかに描き出します。ドゥルーズは、スピノザの体系を、単なる歴史的な哲学としてではなく、現代思想における活きた問題系として捉え直し、その革新的な可能性を明らかにしようと試みます。

まず注目すべきは、ドゥルーズがスピノザ哲学を「力」の哲学として解釈している点です。伝統的な解釈では、スピノザは理性と感情の対立を克服し、理性による情念の統御を目指した哲学者として捉えられてきました。しかしドゥルーズは、スピノザにおいて「力」こそが根源的な概念であり、理性も情念も、この「力」の様態に過ぎないと主張します。

ドゥルーズは、『エチカ』における幾何学的証明という形式にも注目します。彼は、この形式が、単に論理的な明晰さを期すためのものではなく、スピノザ独自の思想を表現するための手段であると解釈します。つまり、幾何学的な証明は、静的な体系を提示するのではなく、読者自身の内側に「力」の生成運動を引き起こすことを目的としているのです。

ドゥルーズは、スピノザの「コナトゥス」(努力、欲求)の概念を、現代的な文脈において再解釈します。彼によれば、「コナトゥス」とは、自己保存のみに向けられた受動的な力ではなく、むしろ絶えず変化し、他者との関係において生成する能動的な力です。ドゥルーズは、この「コナトゥス」の概念を通して、現代社会における抑圧や権力関係を分析し、真の自由と解放の可能性を探求します。

本書は、スピノザのエチカを既に読破した読者にとって、その理解を深め、新たな視点を得るための格好の書と言えるでしょう。ドゥルーズの鋭い洞察と独創的な解釈は、現代社会におけるスピノザ哲学の意義を改めて認識させてくれるはずです。

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