## スピノザのエチカの感性
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第一部の命題1-15における「感性」
スピノザは『エチカ』において、人間の認識能力を三段階に分けて論じています。第一の認識能力である「感性」(imaginatio)は、『エチカ』第一部の命題1-15で集中的に論じられるテーマです。感性は、我々が外界の事物から受ける感覚的印象や表象に基づく認識能力です。スピノザは、この感性による認識が、以下の特徴を持つことを指摘します。
* **不完全で混乱した認識**: 感性は、事物の真の姿を捉えるのではなく、我々が感覚器官を通して受ける限られた情報に基づいています。そのため、事物の本質を捉えず、断片的で表面的な認識しか得られません。
* **受動的な認識**: 感性は、外部からの刺激に反応して生じる認識であり、能動的に対象を捉えるのではありません。
* **個別的な認識**: 感性は、個別の具体的な事物に対する認識であり、普遍的な本質を捉えることができません。
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「想像」と「経験」
感性による認識は、「想像」(imaginatio)と「経験」(experientia vaga)の二つに分けられます。
* **想像**: これは、感覚器官を通して得られた過去の経験に基づく表象やイメージによって形成される認識です。例えば、目の前に馬の絵を見たときに、以前に見たことのある本物の馬のイメージを思い浮かべるのは、想像による認識です。
* **経験**: これは、直接的な感覚経験を通して得られる認識です。例えば、実際に目の前にいる馬を見て、その形や色を認識するのは、経験による認識です。
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感性の限界
スピノザは、感性による認識が我々に真の認識をもたらすことはないと考えています。感性による認識は、常に不完全で混乱しており、偏見や誤謬に陥りやすいからです。しかし、感性は人間の認識能力の基礎となるものであり、第二の認識能力である理性へと進むための出発点となります。
**注**: 上記の説明は、確実な情報のみを記述することを目的としており、『エチカ』における「感性」に関する詳細な議論の一部のみを抜粋したものです。より深く理解するためには、『エチカ』本文を参照し、文脈の中で解釈することが不可欠です。