## スノーのコレラの伝播様式の翻訳
スノーの原著について
ジョン・スノーが1855年に出版した「コレラの伝播様式について」は、公衆衛生の歴史において極めて重要な著作です。スノーはこの著作で、当時流行していたコレラの原因が汚染された水であることを統計データや地図を用いて証明しようと試みました。
翻訳の課題
スノーの著作を翻訳する際には、いくつかの課題が存在します。
* **専門用語の翻訳**: スノーの著作には、当時の医学用語や公衆衛生に関する専門用語が多数登場します。これらの用語を現代の読者にも理解できるよう、適切な日本語に置き換える必要があります。
* **表現の古風さ**: スノーの著作は19世紀半ばに書かれたものであり、現代の英語とは文語や表現に差異が見られます。翻訳に際しては、原文のニュアンスを損なうことなく、自然で読みやすい日本語に置き換える必要があります。
* **文化的な背景の差異**: スノーの著作は当時のイギリス社会を背景として書かれています。現代の日本社会とは文化的な背景が異なるため、読者が理解しやすいように、必要に応じて注釈を加えるなどの工夫が必要となります。
翻訳の例
具体的な例として、スノーの著作で有名な「ブロード街のポンプ」に関する記述を挙げます。
**原文:**
> “On proceeding to the spot, I found that nearly all the deaths had taken place within a short distance of the [Broad Street] pump. There were only ten deaths in houses situated decidedly nearer to another street-pump. In five of these cases the families of the deceased persons informed me that they always sent to the pump in Broad Street, as they preferred the water to that of the pumps which were nearer.”
**翻訳例:**
> 「現場に急行したところ、死者数のほとんどが[ブロード・ストリートの]ポンプからごく至近距離で発生していることがわかりました。別の街路のポンプの方が明らかに近い位置にあるにもかかわらず、そこで発生した死亡例はわずか10件にとどまりました。このうち5件については、遺族から、ブロード・ストリートのポンプの水の方が口に合うため、いつもそこから水を汲んでいたという証言を得ました。」
上記の翻訳例では、”pump” を「ポンプ」と訳し、”street-pump” を「街路のポンプ」と訳出しています。また、”deaths” を「死者数」と訳すことで、原文よりも統計的な情報を強調しています。さらに、”informed me that they always sent to the pump in Broad Street” を「いつもそこから水を汲んでいたという証言を得ました」と訳すことで、原文よりも自然で読みやすい日本語になるように努めています。
スノーの著作は、公衆衛生の歴史を語る上で欠かせないだけでなく、現代社会においても感染症対策を考える上で重要な示唆を与えてくれます。翻訳を通して、より多くの人々がスノーの功績に触れ、その教訓を学ぶことができるようになれば幸いです。