## スノーのコレラの伝播様式の思考の枠組み
### スノーの思考における重要な要素
スノーは、コレラの伝播様式について、当時の支配的な考えであった「瘴気説」に疑問を抱き、独自の調査と観察に基づいて「水系感染説」を提唱しました。彼の思考の枠組みは、以下の要素によって特徴付けられます。
### 1. 観察と経験に基づく実証主義的な姿勢
スノーは、医師としての経験から、コレラの症状が消化器系に集中していることに注目し、瘴気を吸い込むことによって病気が発生するという考え方に疑問を抱きました。彼は、流行地域における患者の分布や水源との関係など、自らの観察に基づいて仮説を立て、それを検証するためにさらなる調査を行いました。
### 2. 空間的な分析と比較による仮説の検証
スノーは、1854年のロンドンにおけるコレラ流行時、ブロードストリート周辺に集中していた患者の分布を地図上にプロットし、その発生源が公衆水道ポンプであることを突き止めました。彼は、このポンプの水を飲んでいた人々にコレラ患者が集中していることを確認し、さらに、同じ水源を利用していない近隣の地域では発症率が低いことを比較することで、自らの仮説を裏付けました。
### 3. 個々の事例の綿密な調査と記録
スノーは、コレラ患者一人ひとりの居住地、水源、発症までの時間などを詳細に記録し、それらの情報を分析することで、コレラの伝播経路を特定しようとしました。彼は、特定の水源から水を飲んだ人だけがコレラを発症する事例や、水源を変えたことでコレラの発生が減少した事例などを丹念に収集し、水系感染説の根拠を積み重ねていきました。