スティーヴンスンの宝島の感性
冒険への憧憬とロマンティシズム
スティーブンソンの『宝島』は、海賊と宝の物語という、冒険小説の王道ともいえる題材を扱い、少年少女の心を掴んで離さない冒険への憧憬とロマンティシズムに満ち溢れています。
嵐の海を渡る航海の描写、孤島を探検するスリル、海賊たちの生々しい日常や彼らが駆使する策略の数々は、読者を物語の世界に引き込み、ハラハラドキドキする展開を提供します。宝を求めて海に乗り出すジム・ホーキンスの視点を通して描かれる冒険譚は、子供だけでなく、大人にも少年時代の夢や冒険心を思い起こさせます。
善と悪の対比と人間の二面性
『宝島』では、ジム・ホーキンスのような勇敢で正義感の強い人物や、親切なリブシー先生といった「善」の象徴と言えるキャラクターが登場する一方、冷酷な海賊ジョン・シルバーのように、人間の欲望や残酷さを体現したかのような「悪」の象徴も描かれています。
特に、物語の鍵を握るジョン・シルバーは、狡猾で残忍な海賊であると同時に、どこか憎みきれない魅力を兼ね備えた複雑な人物として描かれています。彼の存在は、人間の二面性や、善悪の境界線の曖昧さを浮き彫りにし、物語に深みを与えています。
自然の力強さと美しさ
『宝島』では、海という雄大な自然が舞台として登場し、その力強さと美しさが印象的に描かれています。嵐の海の脅威、孤島の豊かな自然、そしてそれらに翻弄される人間の姿は、自然への畏怖の念と、同時にその美しさへの感動を呼び起こします。
広大な海原を舞台に繰り広げられる冒険と、そこに生きる人々の姿は、自然と人間の織りなす壮大なドラマを感じさせます。