## スティーヴンスンの「宝島」の美
スピーディーでスリリングな冒険譚
「宝島」は、海賊の財宝をめぐるスリリングな冒険物語として、読者をたちまち物語の世界へ引き込みます。冒頭からジム・ホーキンズ少年の視点で描かれるスリリングな展開は、読者に息つく暇を与えません。宿屋「ベンボウ提督亭」に現れた謎の客、ビリー・ボーンズの死、そして彼の遺品から見つかった宝の地図。ジムは、大地主のトレローニー氏や、温厚な医師のライブジー先生と共に、ヒスパニオラ号に乗り込み、宝探しの航海へと出発します。
魅力的な登場人物たち
「宝島」には、個性豊かな登場人物が数多く登場します。主人公のジム・ホーキンズは、勇敢で機転が利き、物語が進むにつれて成長していく姿が印象的です。片足の海賊ロング・ジョン・シルバーは、狡猾でありながらどこか憎めない魅力的な悪役として、物語に緊張感を与えています。他にも、実直なスモレット船長、気の良いトレローニー氏、知的なライブジー先生など、それぞれが重要な役割を果たし、物語を盛り上げています。
鮮やかな風景描写
スティーブンソンは、物語の舞台となる海や島々の風景を、美しく描写しています。特に、宝島に初めて足を踏み入れたときの描写は、読者に強い印象を与えます。青い海、白い砂浜、緑豊かな木々が生い茂る島の様子は、楽園を思わせる美しさです。しかし、その一方で、島には危険な生物や、宝を狙う海賊たちが潜んでおり、楽園の裏に潜む恐ろしさも同時に描き出されています。