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スチュアートの政治経済学の諸原理の評価

## スチュアートの政治経済学の諸原理の評価

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出版と時代背景

ジョン・スチュアート・ミルは、1848年に『経済学の諸原理』を出版しました。これは、アダム・スミス『国富論』から70年以上を経ており、デヴィッド・リカードなど多くの経済学者が古典派経済学を発展させた時代でした。ミル自身も、ベンサムの功利主義の影響を受けつつ、リカードの経済学を継承発展させたと評価されています。

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内容と貢献

『経済学の諸原理』は、古典派経済学を集大成したとも評される著作で、生産、分配、交換、進歩の法則という体系的な構成で経済現象を分析しました。

生産の分野では労働、資本、土地の三要素を生産要素として論じ、価値論については、生産費用説の立場をとっています。分配の分野では、地代、利潤、賃金の三つの階級所得を論じ、それぞれが経済活動に果たす役割を分析しています。交換の分野では、価値と価格の関係や国際貿易などを論じ、比較優位の概念を明確に示したことは大きな貢献と言えるでしょう。進歩の法則においては、資本蓄積と技術進歩による経済成長の可能性を論じながらも、定常状態における不平等や貧困の問題を指摘しています。

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評価と批判

ミルの『経済学の諸原理』は、19世紀後半に標準的な経済学の教科書として広く読まれ、大きな影響力を持ちました。その包括的な内容と明晰な論理は、多くの経済学者に影響を与え、経済学の発展に貢献したと言えるでしょう。

しかしながら、出版以降、様々な批判もなされてきました。例えば、労働価値説に基づく分析や分配論における階級的視点、そして政府の役割に関する議論は、その後の限界革命や新古典派経済学の台頭により、批判的に検討されることとなりました。また、抽象的な理論構成に偏っているという指摘や、現実の経済問題に対する分析が不足しているという指摘もなされています。

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