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スチュアートの政治経済学の諸原理の対称性

## スチュアートの政治経済学の諸原理の対称性

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生産と分配の対称性

スチュアートは、生産と分配を対称的なプロセスとして捉えていません。彼の著書『経済学原理』において、生産は自然法則に支配され、人間は労働や資本を投入することで富を生み出すとされます。一方、分配は人間の制定した法律や制度によって決定されると考えられています。

具体的には、生産活動は土地、労働、資本という生産要素の組み合わせによって行われ、その効率は技術進歩や労働者の技能によって向上します。これは普遍的な法則であり、時代や社会体制に関係なく成立するとスチュアートは主張します。

しかし、生産された富の分配は、私有財産の保護、相続制度、課税制度といった法的・制度的枠組みによって大きく左右されます。これらの枠組みは社会によって異なり、歴史的な変遷も経験するため、分配は相対的なものとなります。

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個人と社会の対称性

スチュアートは、個人と社会の関係においても単純な対称性を想定していません。彼は、個人の自由と自己利益の追求を重視する一方、社会全体の利益を守るために政府による一定の介入も必要だと考えていました。

彼の思想の中核をなす功利主義は、「最大多数の最大幸福」を至上命題とすることから、個人の利益と社会全体の利益は必ずしも一致しないことを前提としています。

スチュアートは、自由放任主義を唱えながらも、教育や貧困対策など、政府が積極的な役割を果たすべき分野があると主張しました。これは、個人の自由を最大限に尊重しつつも、社会全体の利益を損なう可能性がある場合には、政府による介入も正当化されると考えたためです。

このようにスチュアートは、個人と社会の関係を、単純な二項対立ではなく、相互に影響しあう複雑なものとして捉えていました。

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