スチュアートの政治経済学の諸原理の力
影響力
ジョン・スチュアート・ミルは、19世紀のイギリスを代表する哲学者、経済学者、政治思想家であり、その影響力は現代に至るまで多岐にわたる分野に及んでいます。特に1848年に出版された『経済学原理』は、古典派経済学の集大成として、また、その後の経済学の発展に多大な影響を与えた金字塔として知られています。
古典派経済学の体系化
『経済学原理』は、アダム・スミスによる『国富論』以来、発展を遂げてきた古典派経済学の理論を、体系的に整理し、分かりやすく解説した点において画期的でした。ミルは、労働価値説、市場メカニズム、自由貿易など、古典派経済学の中心的な概念を精緻化し、体系的な経済理論として提示しました。
功利主義に基づく経済思想
ミルは、ジェレミー・ベンサムの功利主義の影響を強く受け、経済学においても「最大多数の最大幸福」という視点を重視しました。彼は、自由競争や私的所有権といった資本主義の原則を支持しながらも、貧困や格差の拡大といった社会問題に対して強い懸念を抱いていました。
政府の役割
ミルは、政府の役割について、古典派経済学の自由放任主義的な立場を修正し、積極的な介入をある程度容認する立場をとりました。彼は、教育や労働条件の改善、貧困対策など、市場メカニズムだけでは解決できない社会問題に対しては、政府が積極的に介入する必要があると考えました。