## スチュアートの「政治経済学の諸原理」の秘密
###
「秘密」という表現の誤解
まず初めに、「秘密」という言葉の使い方が適切ではないことを指摘しなければなりません。ジョン・スチュアート・ミルが著した『経済学原理』は、19世紀に広く読まれた経済学の教科書であり、そこに書かれている内容は当時の経済学者たちにとって一般的なものでした。ミル自身も、本書の中で独自の学説を展開しているというよりも、アダム・スミスやデヴィッド・リカードといった先行する経済学者たちの考え方を整理し、体系化することに重点を置いています。
###
当時の経済学の限界
しかしながら、『経済学原理』が書かれた19世紀半ばは、経済学という学問がまだ発展途上にあった時代です。そのため、現代の視点から見ると、本書の内容にはいくつかの限界があることも事実です。例えば、ミルは労働価値説を採用しており、商品の価値はそれを生産するために必要な労働量によって決まると考えていました。また、彼は資本家の利潤は労働者の搾取によって生み出されると考えており、社会主義的な思想も持ち合わせていました。
###
「秘密」ではなく歴史的文脈
このように、『経済学原理』には当時の経済学の限界を反映した記述も含まれています。しかし、それは決して「秘密」と呼ぶべきものではありません。むしろ、本書を深く理解するためには、当時の歴史的・社会的文脈を踏まえて、ミルの主張を読み解いていくことが重要になります。