## スターリンのマルクス主義と民族問題の面白さ
１．民族問題への独自の視点を提示
スターリンは、「マルクス主義と民族問題」において、民族を「共通の言語、領土、経済生活、およびその中で形成される共通の文化によって結びついた人々の安定した共同体」と定義しました。これは、当時のマルクス主義において一般的であった、階級闘争を中心とした視点とは異なる、民族問題への独自の視点を提示したものでした。
２．民族自決権への支持と限界
スターリンは、民族抑圧に反対し、すべての民族が自決権を持つべきだと主張しました。これは、帝政ロシアによる支配や、ヨーロッパ列強による植民地支配を受けていた当時の状況において、多くの民族にとって魅力的な主張でした。しかし、同時にスターリンは、プロレタリアートの国際主義の観点から、民族自決権は無制限に認められるべきではないとも論じています。彼は、民族自決権の行使が、社会主義革命やプロレタリアート独裁の達成を阻害する場合は、これを制限する可能性を示唆しました。
３．後のソ連の民族政策への影響
「マルクス主義と民族問題」で示されたスターリンの視点は、後のソビエト連邦の民族政策に大きな影響を与えました。ソ連は、表向きには民族の平等と自決権を保障する一方で、実際には中央集権的な支配体制を維持し、民族運動を弾圧することもありました。スターリン自身も、その政治的立場のために、自らの理論とは矛盾する民族政策を実行することもありました。
４．現代における議論の対象
「マルクス主義と民族問題」は、発表から100年以上経った現在でも、民族問題やナショナリズムに関する重要な議論の的となっています。特に、グローバリゼーションの進展に伴い、民族や文化の多様性への関心が高まる一方で、民族間の対立や紛争も後を絶たない現代において、スターリンの主張は、その妥当性や限界を含めて、改めて問い直されるべき重要なテーマとなっています。
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