スタンダールの赤と黒を読んだ後に読むべき本
フランス文学の深淵へ:バルザック「ゴリオ爺さん」
スタンダールの「赤と黒」を読み終え、フランス文学の奥深さに魅了されたあなたにおすすめしたいのが、バルザックの「ゴリオ爺さん」です。「赤と黒」が、フランス復古王政期における野心的な青年ジュリアン・ソレルの栄光と没落を描いたのに対し、「ゴリオ爺さん」は、七月王政期のパリを舞台に、父性愛の悲劇と社会の冷酷さを浮き彫りにします。
「ゴリオ爺さん」の中心人物は、タイトルにもなっているゴリオ爺さんです。彼はかつて裕福なパスタ業者でしたが、二人の娘に財産をすべてつぎ込み、貧困のどん底に突き落とされます。それでもなお娘たちを愛し続けるゴリオ爺さんの姿は、読者の心を強く揺さぶります。
一方、「赤と黒」の主人公ジュリアンと同様に、野心に燃える青年ウジェーヌ・ラストーニャックも物語の重要な登場人物です。彼は、上流社会での成功を夢見て、ゴリオ爺さんの娘たちや、謎めいた犯罪者ヴォートランと関わりを持ち始めます。
「ゴリオ爺さん」は、「赤と黒」と同様に、当時のフランス社会における階級、野心、愛情といった普遍的なテーマを扱っています。しかし、「ゴリオ爺さん」は、「赤と黒」よりもさらに深く人間心理に迫り、社会の矛盾や人間のエゴイズムを容赦なく描き出しています。
「赤と黒」と「ゴリオ爺さん」は、どちらもフランス文学を代表する傑作であり、合わせて読むことで、19世紀フランス社会への理解をより深めることができます。また、人間の欲望や愛憎劇を通して、人間の存在そのものについて考えさせられるでしょう。