## スタンダールの恋愛論を読む
「恋愛論」とは何か
「恋愛論」とは、フランスの小説家、スタンダール（本名：アンリ＝マリ・ベイユ）が1822年に発表した恋愛論です。原題は「De l’amour（愛について）」で、邦訳では「恋愛論」のほか「恋愛について」などのタイトルで出版されています。
作品の内容
「恋愛論」は、スタンダール自身の恋愛経験や観察に基づき、恋愛の心理を分析した作品です。彼は、恋愛を「結晶化作用」という独自の理論を用いて説明しようとしました。
結晶化作用とは、鉱山の底に投げ込まれた枝が、時間をかけて美しい結晶で覆われるように、恋愛においても、対象となる人物の良い面にばかり目が向き、欠点が見えなくなることで、理想化が進む現象を指します。
スタンダールは、恋愛を以下の7つの段階に分類しました。
1. **憬慕**: 対象への憧れを抱く段階
2. **好感**: 相手と会いたい、話したいと思うようになる段階
3. **希望**: 相手から愛されているかもしれないという期待を抱く段階
4. **最初の結晶化**: 相手の欠点が見えなくなり、美化する段階
5. **疑念**: 相手への愛情に不安を感じ始める段階
6. **第二の結晶化**: 疑念を乗り越え、再び相手を理想化する段階
7. **幸福**: 安定した愛情を手に入れる段階
「恋愛論」では、これらの段階や結晶化作用に加えて、恋愛における様々な心理や現象、例えば、
* 男性と女性の心理の違い
* 恋愛における駆け引き
* 嫉妬や所有欲
* 失恋の苦しみ
などが、鋭い観察眼と分析力で描かれています。
「恋愛論」を読む意義
「恋愛論」は、200年近く前に書かれた作品ですが、時代を超えて愛読されています。その理由は、人間の恋愛心理を鋭く見抜き、現代にも通じる普遍的な恋愛の真理を描き出しているからと言えるでしょう。
恋愛の喜びや苦しみ、そしてその複雑な心理を理解することは、私たち自身の恋愛観や人生観を深めることにもつながります。「恋愛論」を読むことは、恋愛という複雑な感情に向き合い、その本質を探求する知的冒険となるでしょう。