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スタインベックの怒りの葡萄の原点

スタインベックの怒りの葡萄の原点

1. 1930年代の大恐慌とダストボウル

「怒りの葡萄」は、1930年代アメリカを襲った大恐慌とダストボウルを背景にしています。世界恐慌の影響で、アメリカの農業経済は壊滅的な打撃を受け、多くの農民が土地を追われました。さらに、干ばつと砂嵐が吹き荒れたダストボウルにより、中西部や南部の農地は荒廃し、農民たちは希望を求めて西へと移動せざるを得なくなりました。

スタインベック自身もカリフォルニア州サリナス出身であり、大恐慌の影響を目の当たりにしていました。彼は社会的弱者や労働者に深い共感を抱き、その苦しみを作品に反映させています。

2. オクラホマ州からカリフォルニア州への移民労働者の実態

「怒りの葡萄」は、オクラホマ州からカリフォルニア州への移民労働者の生活を描いています。土地を追われたジョード一家は、カリフォルニアで「約束の地」を見つけられるという希望を抱いて、西へ向かいます。しかし、彼らを待っていたのは、低賃金で過酷な労働と、社会からの差別でした。

スタインベックは、移民労働者の窮状を伝えるために、実際にカリフォルニアの農場や移民キャンプで取材を行い、彼らの体験を克明に描写しています。彼は、彼らが直面する搾取、貧困、飢餓、そして人間の尊厳の喪失を描き出しています。

3. スタインベック自身のジャーナリズム活動

スタインベックは、「怒りの葡萄」を執筆する前にも、ジャーナリストとして活動し、大恐慌時代の社会問題を告発する記事を書いていました。彼は、カリフォルニアの移民労働者の窮状を伝える記事をサンフランシスコ・エグザミナー紙に寄稿し、大きな反響を呼びました。

これらのジャーナリズム活動を通して、スタインベックは、社会の不公正に対する怒り、そして弱者への共感を深めていきました。その経験が、「怒りの葡萄」の執筆に大きな影響を与えたことは間違いありません。

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