スウィフトのガリヴァー旅行記の構成
第1部 リリパット国渡航記
主人公レミュエル・ガリバーが、船医として乗っていた船が難破し、リリパットという小人の国に漂着するところから物語が始まります。ガリバーはリリパット人よりも体がはるかに大きいため、最初は恐怖の対象となりますが、次第にその温和な性格と知性で彼らの信頼を得ていきます。ガリバーはリリパットの宮廷で厚遇を受け、彼らの言語や文化を学び、政治や戦争にも関与していきます。しかし、やがて宮廷内の陰謀に巻き込まれ、リリパットからの脱出を余儀なくされます。
第2部 ブロブディンナグ国渡航記
リリパットを脱出したガリバーは、再び航海に出ますが、今度はブロブディンナグという巨人の国に漂着します。ここでは、ガリバーは自分が小人になってしまい、巨人たちの巨大さに圧倒されます。農家の娘に拾われたガリバーは、見世物小屋で金儲けの道具として扱われた後、国王に献上されます。ガリバーは知性と教養で王と王妃の寵愛を受けますが、身の回りの出来事を通して、人間の醜さや愚かさを目の当たりにします。その後、ガリバーは鷲にさらわれ、海に落とされたところを船に助けられ、故郷に帰還します。
第3部 ラピュータ、バルニバービ、ラグナグ、グラブストリッグ、日本への渡航記
故郷に帰還したガリバーでしたが、再び航海の旅に出ます。今回は、空飛ぶ島ラピュータ、魔法使いの島バルニバービ、不死の人々が住むラグナグ、馬が理性を司るヒューイーンムの国などを訪れます。これらの国々は、それぞれ風刺の対象となる社会や人間の性質を象徴しており、ガリバーはそれぞれの国で、奇妙な体験を通して、人間の愚かさや社会の矛盾を目の当たりにします。
第4部 ヒューイーンムの国渡航記
最後の航海で、ガリバーは知性を持つ馬、ヒューイーンムと、彼らに仕える獣人ヤフーが住む国に漂着します。理性的なヒューイーンムは、人間の醜さや愚かさを体現するヤフーを軽蔑しており、ガリバーもまたヤフーの一種とみなされます。ガリバーはヒューイーンム社会の高度な理性と道徳に感銘を受けますが、その一方で、人間に対する嫌悪感を抱くようになります。その後、ガリバーはヒューイーンムの掟により、彼らの国を去ることを余儀なくされ、ポルトガル船に助けられて故郷に帰還します。しかし、人間社会に馴染むことができず、孤独な日々を送ることになります。