ジッドの食糧・人口・経済成長の話法
ジッドの経済学における人口問題への着目
アルフレッド・ジッドは、その主著『経済学の諸原理』の中で、人口問題を経済学の重要なテーマとして位置付けています。 特に、マルサスの『人口論』を批判的に継承しつつ、独自の視点を展開している点が特徴です。
食糧供給の限界と「収穫逓減の法則」
ジッドは、マルサスと同様に、食糧供給は土地の有限性によって制約されると考えました。 彼は、特に「収穫逓減の法則」を重視し、労働や資本を投入しても、一定の土地からは得られる収穫は比例的に増加せず、やがて限界に達することを指摘しました。
人口増加の抑制要因と「抑制的抑制」
ジッドは、人口増加が食糧供給の限界を超えないよう調整するメカニズムとして、マルサスの「積極的抑制」と「予防的抑制」の概念を継承しました。 特に、ジッドは「予防的抑制」、すなわち道徳的自制による出生率の低下を重視し、これを「抑制的抑制」と呼びました。
経済成長と生活水準の向上
ジッドは、人口増加が抑制されれば、経済成長による生活水準の向上が可能になると考えました。 彼は、技術進歩や資本蓄積によって生産性が高まれば、一人当たりの所得が増加し、貧困の解消につながると論じました。
ジッドの議論の限界と現代における意義
ジッドの議論は、マルサスの人口論を批判的に継承しつつも、食糧供給の限界や人口増加の抑制という点で共通点が見られます。 ただし、ジッドの時代以降、農業技術の革新などにより食糧生産は大幅に増加しており、彼の議論の前提条件は大きく変化しています。
ジッドの議論は、現代社会における人口問題や経済成長を考える上で、依然として示唆に富む側面も持ち合わせています。