ジスモンディの政治経済学新原理の関連著作
アダム・スミス「国富論」
ジスモンディは、アダム・スミスの「国富論」を批判的に継承した経済学者として知られています。「国富論」は、自由競争や分業の促進が社会全体の利益に繋がると説き、古典派経済学の基礎を築いた重要な著作です。ジスモンディも自由放任主義的な経済政策には一定の理解を示していました。
ジャン＝バティスト・セイ「経済学概論」
セイは「供給はそれ自身の需要を生み出す」というセイの法則で知られる、古典派経済学を代表する経済学者の一人です。ジスモンディはセイの法則を批判し、供給過剰の可能性を指摘しました。これは、後にケインズ経済学にも影響を与える重要な議論となります。
トーマス・ロバート・マルサス「人口論」
マルサスは、人口増加が食料供給を上回る可能性を指摘し、貧困問題の根底にある要因を分析しました。ジスモンディもマルサスの人口論の影響を受け、人口増加と経済成長の関係について考察を深めました。特に、ジスモンディはマルサスとは異なり、人口抑制よりも富の分配を重視する立場をとりました。
ダヴィッド・リカード「経済学および課税の原理」
リカードは比較優位説を提唱し、自由貿易のメリットを論じたことで知られています。ジスモンディはリカードの自由貿易論に反対し、保護主義の必要性を主張しました。これは、国内産業の保護や雇用維持を重視するジスモンディの思想を反映しています。
これらの著作は、ジスモンディの「政治経済学新原理」が執筆された当時の経済学界における主要な議論を理解する上で重要な文献です。ジスモンディはこれらの先駆的な経済学者たちの理論を批判的に検討し、独自の経済思想を展開していきました。