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ジスモンディの政治経済学新原理の思想的背景

ジスモンディの政治経済学新原理の思想的背景

ジスモンディの生きた時代背景

ジャン・シャルル・レオナール・シモンド・ド・シスモンディ(1773-1842)は、フランス革命(1789-1799)とその後のナポレオン時代(1799-1815)という激動の時代を生きました。この時代は、ヨーロッパ社会が大きく変革した時代であり、封建制から資本主義への移行が進みました。フランス革命は、自由、平等、博愛といった啓蒙思想の影響を強く受けたものであり、旧体制の打破と新しい社会の建設を目指しました。ナポレオン戦争は、フランス革命の理念をヨーロッパ中に広めると同時に、戦争による経済的な疲弊と社会不安をもたらしました。

啓蒙思想の影響

シスモンディは、啓蒙思想、特にルソーの思想から大きな影響を受けました。ルソーは、人間の自然状態は善であり、社会制度によって人間は堕落すると考えました。シスモンディもまた、当時の資本主義社会における貧富の差の拡大や労働者の窮状を目の当たりにし、社会制度の矛盾を批判しました。

古典派経済学への批判

シスモンディは、アダム・スミスをはじめとする古典派経済学を批判的に継承しました。スミスは、『国富論』の中で、自由競争と分業によって社会全体の富が増大すると主張しました。しかし、シスモンディは、現実の資本主義社会においては、自由競争は生産過剰と恐慌を引き起こし、労働者は搾取され、貧富の差が拡大していくと批判しました。

歴史主義の視点

シスモンディは、歴史主義の視点から経済現象を分析しました。彼は、経済現象は、歴史的、社会的、政治的な要因によって規定されると考え、普遍的な経済法則の存在を否定しました。また、経済学は、単なる理論ではなく、現実の社会問題を解決するための実践的な学問であるべきだと主張しました。

シスモンディの思想の独自性

シスモンディは、古典派経済学の限界を指摘し、後の社会主義経済学の先駆者とされています。彼は、政府による経済への介入の必要性を説き、労働者の保護や社会福祉の充実を訴えました。彼の思想は、当時の社会主義運動にも影響を与え、資本主義社会の矛盾を克服しようとする動きを後押ししました。

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