ジスモンディの政治経済学新原理に影響を与えた本
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アダム・スミスの『国富論』
ジャン・シャルル・レオナール・シモンド・ド・シスモンディは、19世紀初頭の経済学者であり、その主著『政治経済学新原理』は、古典派経済学に対する重要な批判として知られています。シスモンディは、アダム・スミスをはじめとする古典派経済学者の自由放任主義的な経済政策を批判し、政府による介入の必要性を主張しました。
シスモンディの経済思想に大きな影響を与えた一冊の本として、アダム・スミスの『国富論』が挙げられます。スミスの『国富論』は、自由主義経済学の古典として知られており、市場メカニズムの重要性を説き、政府による経済への介入を否定しました。シスモンディは、スミスの思想を深く研究し、その理論の妥当性を検討しました。
シスモンディは、『国富論』の主張の多くに賛同していました。彼は、分業の利益や自由貿易の重要性を認め、市場メカニズムが経済成長の原動力となり得ることを理解していました。しかし、シスモンディは、スミスの楽観的な経済観には疑問を抱いていました。スミスは、市場メカニズムが常に社会全体の幸福に貢献すると考えていましたが、シスモンディは、市場メカニズムが貧困や不平等を生み出す可能性を指摘しました。
シスモンディは、スミスの理論の限界を克服するために、政府による介入の必要性を主張しました。彼は、政府が労働者の保護や富の再分配などの政策を通じて、市場の失敗を修正する必要があると考えていました。シスモンディの経済思想は、後のケインズ経済学にも影響を与え、現代の福祉国家の形成にも貢献しました。