ジスモンディの政治経済学新原理に匹敵する本
シスモنديの「政治経済学新原理」の概要
ジャン・シャルル・レオナール・シモンド・ド・シスモنديが1819年に発表した「政治経済学新原理」は、当時の支配的な経済学であった古典派経済学、特にアダム・スミスの自由放任主義経済学を批判し、経済成長の限界や貧富の格差拡大といった問題点を指摘したことで知られています。シスモنديは、政府による介入や社会福祉の必要性を説き、後の社会主義経済学にも影響を与えました。
「政治経済学新原理」に匹敵する歴史的名著
シスモنديの「政治経済学新原理」に匹敵する歴史的名著として、いくつか挙げられます。
1. トーマス・ロバート・マルサスの「人口論」
1798年に発表された「人口論」は、人口増加が幾何級数的に進行する一方で、食糧生産は算術級数的にしか増加しないため、いずれ人口と食糧生産の間に不均衡が生じ、貧困や飢餓が不可避となるという「マルサスの法則」を提唱しました。
マルサスは、シスモنديと同じく、当時の楽観的な経済観を批判し、経済成長の限界や貧困問題に警鐘を鳴らしました。彼の思想は、人口増加に対する危機感を高め、後の家族計画運動や社会福祉政策にも影響を与えました。
2. カール・マルクスの「資本論」
1867年から1894年にかけて出版された「資本論」は、資本主義経済の矛盾を分析し、資本主義の必然的な崩壊と共産主義社会への移行を予言しました。マルクスは、シスモنديの労働価値説を継承しつつ、資本主義における搾取の構造を解明し、労働者階級の革命による社会変革を主張しました。
3. ジョン・メイナード・ケインズの「雇用・利子および貨幣の一般理論」
1936年に出版された「雇用・利子および貨幣の一般理論」は、世界恐慌後の不況下において、古典派経済学の限界を指摘し、有効需要の不足が失業を生み出すという新たな経済理論を提示しました。
ケインズは、シスモنديと同様に、政府による積極的な財政政策の必要性を主張し、後のニューディール政策や世界経済の安定化に大きく貢献しました。
これらの著作は、いずれも「政治経済学新原理」と同様に、当時の支配的な経済思想に挑戦し、経済学の新たな地平を切り開いたという点で、歴史的名著と呼ぶにふさわしいと言えるでしょう。