ジスモンディの政治経済学新原理からの学び
ジスモンディの視点：古典派経済学への批判
ジャン・シャルル・レオナール・シモンド・ド・シスモンディは1773年生まれのスイスの経済学者であり、歴史家でもあります。彼は、アダム・スミスを始祖とする古典派経済学の理論に異議を唱え、「政治経済学新原理」を著しました。この著作は、古典派経済学の楽観的な見通し、特に自由放任主義と市場メカニズムの万能性に対する批判として位置づけられています。
生産過剰と経済危機：シスモンディの懸念
シスモンディは、古典派経済学が前提とする「供給は自身の需要を生み出す」というセーの法則に疑問を呈し、現実には生産過剰と経済危機が発生しうると主張しました。彼は、資本家の利益追求は、労働者への低賃金と過剰生産をもたらし、それが需要不足による経済危機を引き起こすと考えました。
政府の役割：経済の安定化と社会福祉
シスモンディは、政府は市場に介入し、経済の安定化と社会福祉の向上に積極的に取り組むべきだと主張しました。彼は、労働時間規制や最低賃金制度など、労働者の保護を訴えました。また、富の不平等な分配は経済の不安定化要因となると考え、累進課税や相続税の導入を提唱しました。
シスモンディの影響：その後の経済思想への貢献
シスモンディの思想は、その後の経済思想、特に社会主義やケインズ経済学に大きな影響を与えました。彼の資本主義経済に対する批判と、政府による介入の必要性に関する主張は、現代経済学においても重要な示唆を与えています。