ジェームズの多元的宇宙の哲学の関連著作
ライプニッツ – モナドロジー(1714年)
ライプニッツのモナドロジーは、世界は無数のモナドと呼ばれる単純な実体から成り立っているとする形而上学的な学説です。モナドはそれぞれ独立しており、他のモナドの影響を受けずに独自の内部法則に従って存在し、変化します。
ジェームズはライプニッツのモナドの概念を、自身の多元的宇宙の哲学において重要な参照点としています。ジェームズは、経験の断片性が、世界の根本的な多元性を示唆していると主張しました。これは、それぞれが独自の経験を持つ、相互に独立した意識の流れであると彼が考えたものです。
カント – 純粋理性批判(1781年)
カントの純粋理性批判は、人間の知識の限界と可能性を体系的に探求した画期的な著作です。カントは、人間の認識は、外界そのものを捉えるのではなく、むしろ感覚経験と、悟性による概念の構成を通じて現象界を構築すると主張しました。
ジェームズは、カントの認識論の影響を受けて、人間の経験が現実の断片的な一面のみを捉えていることを強調しました。しかしジェームズは、カントとは異なり、現実の多元性を、人間の心の構成物としてではなく、世界の根本的な特徴として捉えました。
ウィリアム・ジェームズ – プラグマティズム(1907年)
ジェームズのプラグマティズムは、概念や理論の真偽を、その実践的な結果によって判断する哲学的立場を提唱しています。ジェームズは、真実は固定されたものではなく、経験を通じて絶えず変化し、発展していくものだと主張しました。
ジェームズの多元的宇宙の哲学は、彼のプラグマティズムの立場と密接に関係しています。ジェームズは、多元的な宇宙において、真理は絶対的なものではなく、各個人の経験や視点に依存すると考えました。
アンリ・ベルクソン – 創造的進化(1907年)
ベルクソンの創造的進化は、生命と進化を、理性的な分析では完全に捉えきれない、創造的で予測不可能な力として捉えた哲学書です。ベルクソンは、生命の進化は、エラン・ヴィタールと呼ばれる生命の衝動によって駆動されると主張しました。
ジェームズは、ベルクソンの思想、特に生命の流動性と創造性を強調する点に共感していました。ジェームズの多元的宇宙の哲学もまた、絶えず変化し、発展していく現実を強調しています。