## シラーの群盗の話法
登場人物の対比による劇的効果の強調
シラーの「群盗」は、登場人物の対比を効果的に用いることで、道徳、正義、自由といったテーマを鮮やかに浮かび上がらせています。
まず、主人公である兄弟、カールとフランツの対比が挙げられます。
カールは、理想主義的で情熱的な性格の持ち主として描かれています。彼は、社会の不正や腐敗に憤りを感じ、盗賊団の頭領となって既存の秩序に反抗しようとします。一方、弟のフランツは、冷酷で計算高い性格の持ち主です。彼は、兄を陥れ、父の財産と地位を手に入れようと画策します。
この対照的な兄弟の対比は、善と悪、正義と不正といった普遍的なテーマを観客に突きつけます。
彼らの対立は、単なる個人的な確執を超えて、人間の本質や社会の矛盾を象徴するものとして描かれていると言えるでしょう。
修辞技法を用いた登場人物の心理描写
シラーは、「群盗」において、登場人物の心理描写に修辞技法を駆使することで、彼らの葛藤や苦悩をより深く描き出しています。
例えば、カールは、自らの理想と現実のギャップに苦悩し、自問自答を繰り返します。彼の台詞には、独白や比喩、反語などの修辞技法が頻繁に用いられ、彼の内面の葛藤が鮮やかに表現されています。
一方、フランツは、自らの野望を達成するために冷酷な手段を用いることに対する罪悪感に苛まれます。彼の台詞にもまた、独白や比喩が用いられ、彼の心の闇が浮き彫りにされています。
このように、「群盗」では、修辞技法を用いることで、登場人物たちの内面世界が深く掘り下げられ、観客は彼らの苦悩や葛藤により共感することができるようになっています。