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ショーペンハウアーの意志と表象としての世界の原点

ショーペンハウアーの意志と表象としての世界の原点

ショーペンハウアーの思想的背景

ショーペンハウアーの思想は、18世紀末から19世紀初頭にかけてのドイツ思想界の動向を色濃く反映しています。 特に、カント哲学の影響は彼の主著『意志と表象としての世界』全体を貫く重要な要素です。

カントは、人間の認識能力の限界を明らかにすることで、理性による世界の認識に一定の制約を設けました。彼は、我々が認識できるのは「現象」と呼ばれる、人間の感性と悟性によって構成された世界のみであり、「物自体」は認識不可能であると主張しました。ショーペンハウアーはカントのこの超越論的観念論を批判的に継承し、独自の哲学体系を構築していきます。

プラトン主義の影響

ショーペンハウアーはカント哲学と並んで、古代ギリシャの哲学者プラトンの思想からも大きな影響を受けました。プラトンの二元論的な世界観、特に、感覚的な経験の世界である「現象界」と、永遠不変のイデアの世界である「イデア界」という二つの世界を対比させる考え方は、ショーペンハウアーの哲学の根底に流れ込んでいます。

彼はプラトンのイデアを「理念」と読み替え、この理念こそが現象界の背後に存在する真の実在であると主張しました。そして、この理念を認識することこそが、人間の苦悩から解放される唯一の道であると説いたのです。

インド哲学との出会い

ショーペンハウアーの思想を語る上で欠かせないのが、東洋思想、特にインド哲学の影響です。彼は西洋哲学の枠組みを超えて、仏教やウパニシャッド哲学など、東洋の思想にも深く傾倒していきました。

特に、輪廻転生や苦の思想、そしてそれらからの解脱という考え方は、ショーペンハウアーの哲学体系に大きな影響を与えました。彼は、東洋思想に見られる世界観や人生観を、自らの哲学に取り入れることで、西洋哲学の限界を超克しようと試みたのです。

「意志」概念の形成

ショーペンハウアーは、カントが「物自体」と呼んだ、現象界の背後に存在する根源的な実在を、「意志」と定義しました。この「意志」は、盲目的で、目的も理性もなく、ただひたすらに存在し続けようとする衝動、力、エネルギーのようなものです。

彼は、この「意志」こそが、世界を動かす根源的な原理であり、人間を含むあらゆる現象は、この「意志」の客観化、すなわち「表象」として現れていると主張しました。

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