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ショーペンハウアーの意志と表象としての世界の価値

ショーペンハウアーの意志と表象としての世界の価値

ショーペンハウアーの主著「意志と表象としての世界」は、19世紀の西洋哲学に大きな影響を与えた書物です。

その難解さゆえに、出版当初はほとんど注目されませんでしたが、徐々にその思想の深さが理解され、ニーチェ、ワーグナー、フロイトなど、後世の思想家たちに多大な影響を与えました。本書の価値は、主に以下の3点に集約されます。

第一に、ショーペンハウアーはカントの認識論を継承しつつ、独自の観念論を展開しました。

カントは、物自体は認識不可能であるとし、我々が認識できるのは現象のみであると主張しました。ショーペンハウアーはカントのこの考えをさらに推し進め、「世界は表象である」と主張しました。 つまり、我々が認識する世界は、我々の感覚器官と認識能力によって構成されたものであり、客観的な実在とは異なるというのです。

第二に、ショーペンハウアーは、世界の本質を「意志」と捉え、その苦悩に満ちた側面を強調しました。

ショーペンハウアーによれば、意志とは、絶えず欠乏を満たそうとする、盲目的で非理性的、飽くなき衝動です。我々人間を含む、あらゆる生物はこの意志に突き動かされ、苦しみ続ける存在なのです。ショーペンハウアーは、この意志の苦悩から逃れるためには、芸術、道徳、禁欲といった方法によって、意志を否定し、静寂に至る必要があると説きました。

第三に、ショーペンハウアーは、東洋思想、特に仏教やウパニシャッド哲学の影響を強く受けています。

彼の思想には、輪廻転生、苦の認識、無への憧憬といった、東洋思想と共通するテーマが数多く見られます。ショーペンハウアーは、西洋哲学に東洋思想を取り入れた先駆者の一人であり、東西の思想の融合を試みた点においても、その業績は高く評価されています。

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