ショーペンハウアーの女について/倫理についてを読む
ショーペンハウアーの女性観について
アルトゥル・ショーペンハウアー(1788-1860)は、ドイツの哲学者であり、その思想はしばしばペシミズムと厭世観に彩られています。特に、彼の女性観は現代の視点から見ると非常に問題含みであり、激しい批判の対象となっています。
ショーペンハウアーは、著書『恋愛と結婚について』などにおいて、女性を男性よりも知性や理性に欠けた存在として描き、その役割を家事や出産、育児に限定しようと試みています。彼は女性の肉体的な魅力に言及しつつも、それを男性を誘惑し、理性を失わせるものとして否定的に捉えました。
彼の女性蔑視とも取れる態度は、当時の社会状況や文化的背景、そして自身の生い立ちや経験に影響を受けていると考えられています。しかしながら、彼の主張は客観的な根拠に基づいたものではなく、偏見やステレオタイプに満ちていると言わざるを得ません。
ショーペンハウアーの倫理観について
ショーペンハウアーの倫理観は、彼の哲学の中核をなす「意志」の概念と密接に結びついています。彼は、世界の本質を「盲目的な意志」として捉え、人間を含むすべての生き物は、この意志の ceaseless な欲求に翻弄される存在であると主張しました。
ショーペンハウアーによれば、この「意志」は苦悩の根源です。なぜなら、欲求は満たされることがあっても、すぐに新たな欲求が生まれてくるため、真の満足を得ることはできないからです。彼は、この苦しみの連鎖から逃れるためには、「意志の否定」が必要であると考えました。
ショーペンハウアーは、芸術鑑賞や禁欲的な生活、そして他者への同情を通して、一時的に「意志」から解放され、苦しみを和らげることができるとしました。特に、他者の苦しみへの共感は、エゴイズムを克服し、道徳的な行動へと導く重要な要素であると彼は考えていました。