ショーペンハウアーの女について／倫理についてと時間

ショーペンハウアーは、その著作の中で女性について多くの記述を残しており、それらはしばしば女性蔑視的であると批判されてきました。彼は女性の知性や理性、道徳性を男性より劣ったものとみなし、女性を「第二の性」と位置付けています。

彼の女性観は、その哲学体系と密接に関係しています。ショーペンハウアーの哲学の中心概念は、「意志」です。世界は、盲目的で非理性的、飽くなき「意志」によって支配されており、人間もまたその意志に翻弄される存在であると彼は考えました。

ショーペンハウアーは、女性をこの「意志」、特に「種の保存」という意志の具現化として捉えていました。女性は男性よりも肉体的で、感情的で、現実的な存在であり、その主な役割は子供を産み育てることであると彼は考えたのです。

ショーペンハウアーの倫理観は、彼の形而上学と深く結びついています。彼は、世界は苦悩に満ちたものであると主張し、その苦悩から逃れる方法を探求しました。

彼の倫理観の中心には、「同情」の概念があります。ショーペンハウアーは、人間は皆「意志」という根源的なレベルで繋がっているため、他者の苦しみを理解し、共感することができると考えました。

そして、この「同情」こそが、自己中心的な「意志」から解放され、苦悩を克服する鍵となると彼は主張しました。ショーペンハウアーはまた、芸術や禁欲主義も、一時的にではあれ、意志の束縛から解放される手段となりうると考えました。

時間に関しては、ショーペンハウアーはカントの影響を受け、時間が人間の認識形式の一つであると考えました。しかし、カントとは異なり、ショーペンハウアーは時間を否定的に捉え、時間を苦悩の原因の一つと見なしました。

彼は、過去への後悔、未来への不安、現在における退屈など、時間によって生み出される苦悩を指摘しました。そして、真の幸福を得るためには、この時間的束縛から解放される必要があると主張したのです。