ショーペンハウアーの女について／倫理についてを面白く読む方法

ショーペンハウアーといえば、その厭世観で有名ですが、同時に辛辣な毒舌家としても知られています。特に本書「女について／倫理について」では、その毒舌が遺憾なく発揮され、女性に対する手厳しい言葉が並びます。

しかし、彼の言葉を現代社会の文脈に当てはめて「老害の戯言」と切り捨ててしまっては面白くありません。むしろ、彼の言葉の一つ一つを「なぜそう考えたのか？」と深掘りしていくことで、ショーペンハウアーの時代背景や、当時の社会通念、そして彼の思想の根幹が見えてきます。

例えば、「女は一生涯、大きな子供である」という言葉は、現代の私たちからすると女性蔑視とも取れる過激な発言に聞こえます。しかし、当時の女性は教育を受ける機会も限られ、社会進出もほとんど不可能だったことを考えると、彼の言葉も単なる偏見ではなく、当時の社会構造を反映した結果と言えるかもしれません。

このように、彼の過激な言葉の裏に隠された真意を探り当て、現代社会と比較することで、より深くショーペンハウアーを理解することができます。そして、その過程自体が、知的探求心を刺激する、まさに「面白さ」につながるのです。

「倫理について」では、ショーペンハウアーの倫理観が展開されています。彼は、人間の根源的なエゴイズムを指摘し、同情こそが倫理の基礎であると説きました。

現代社会においても、利己主義や自己責任論が横行し、他者への共感力が希薄になっているという指摘があります。ショーペンハウアーの倫理観は、現代社会の抱える問題を鋭くえぐり出し、私たちに重要な問いを投げかけていると言えるでしょう。

彼の倫理観を現代の社会問題に照らし合わせて考えてみることで、単なる哲学書を読むという枠を超えた、深い学びを得ることができるはずです。

ショーペンハウアーの主張は、時に極端で、現代の私たちからすると反発したくなる部分もあるかもしれません。しかし、彼の主張を鵜呑みにするのではなく、「本当にそうだろうか？」と逆張り思考で考えてみることも、本書を面白く読むための有効な方法です。

例えば、彼の女性観に対して、「いや、女性はもっと強い存在だ」「知性だって男性に負けていない」などと反論してみましょう。彼の主張を否定するために、現代の女性の姿や、歴史に名を残す偉大な女性たちの功績を思い浮かべてみるのも良いでしょう。

このように、ショーペンハウアーの主張を「思考のネタ」として、自分なりの意見をぶつけてみることで、受動的な読書体験から、能動的な思考体験へと変化させることができます。