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シュムペンターの資本主義・社会主義・民主主義と時間

## シュムペンターの資本主義・社会主義・民主主義と時間

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時間と資本主義

シュンペーターは、資本主義を動態的なプロセスとして捉え、その中心に「イノベーション」を据えました。そして、このイノベーションこそが、時間と密接に結びついた概念なのです。

シュンペーターは、著書『経済発展の理論』において、イノベーションを「生産手段の新結合」と定義し、以下の五つの類型に分類しました。

1. **新製品の導入**
2. **新しい生産方法の導入**
3. **新しい市場の開拓**
4. **新しい原料供給源の獲得**
5. **新しい組織形態の実現**

これらのイノベーションは、既存の経済構造を破壊し、新たな構造を創造する「創造的破壊」をもたらします。この創造的破壊こそが、資本主義のダイナミズムの源泉であり、経済発展の原動力となるのです。

重要なのは、イノベーションは断続的に、そして時間的に集中して発生するということです。シュンペーターは、イノベーションは波のように押し寄せ、その波及効果によって経済全体に影響を与えると考えました。このイノベーションの波は、景気循環や経済成長の長期的な波及効果を生み出す要因となります。

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時間と社会主義

シュンペーターは、社会主義経済が資本主義経済に取って代わると予測しました。しかし、それは社会主義の倫理的な優位性や資本主義の内部矛盾によるものではありませんでした。シュンペーターは、資本主義自身の成功が、皮肉にも社会主義への移行を促進すると考えました。

シュンペーターは、資本主義の成功によって、大企業が支配的な地位を占めるようになり、イノベーションが官僚化し、硬直化していくと予測しました。結果として、資本主義は当初のダイナミズムを失い、社会主義にとって代わられる土壌が形成されると考えたのです。

この予測においても、時間という概念は重要な役割を果たしています。資本主義から社会主義への移行は、一足飛びに起こるものではなく、長期的な時間軸の中で徐々に進行していくものとして捉えられています。

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時間と民主主義

シュンペーターは、著書『資本主義・社会主義・民主主義』において、民主主義を「リーダーを選ぶための制度」と定義しました。シュンペーターは、民主主義を理想化された政治形態として捉えるのではなく、現実的な視点から分析しました。

シュンペーターは、有権者が常に合理的な判断に基づいて政治に参加するとは限らないことを指摘しました。むしろ、有権者は、感情や宣伝に左右されやすく、政治的な無関心や無知が広がっていることも少なくありません。

しかし、シュンペーターは、だからといって民主主義を否定的に捉えていたわけではありません。民主主義は、リーダーを選出するための競争的なプロセスを提供することで、政治権力の集中を防ぎ、自由と革新を促進する機能を果たすと考えました。

時間という観点から見ると、民主主義は、短期的な視点ではなく、長期的な視点に立って評価されるべき制度と言えるでしょう。民主主義は、短期的な効率性や合理性を必ずしも保証するものではありません。しかし、長期的な安定と発展を可能にするための制度的枠組みを提供すると言えるのです。

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