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シュミットの政治的なものの概念の関連著作

シュミットの政治的なものの概念の関連著作

カール・シュミット『政治的なものの概念』 (1932年)

 シュミットの主著とされ、友敵関係という観点から政治現象の独自性を明らかにしようと試みた著作です。 シュミットは、政治的なものの概念は、道徳的あるいは経済的なものとは独立した固有の基準を持つとし、それは「敵」と「友」の区別であると主張しました。 彼によれば、政治的な行動の根底には、究極的には自らの集団の存在を賭けた敵対集団との闘争が存在し、この闘争の可能性こそが政治を他の領域から区別するものであるとされます。

マックス・ウェーバー『職業としての政治』(1919年)

 ウェーバーは、政治を「国家の指導、あるいは国家指導への影響力に向けられた影響力の配分をめぐる闘争」と定義し、暴力の独占を正当化されたものとして持つことを国家の本質的な特徴と捉えました。 シュミットはウェーバーの国家論を継承しつつも、暴力の独占よりもむしろ「例外状態」における決定のあり方にこそ政治の本質があると主張し、ウェーバーの議論を批判的に発展させました。

トーマス・ホッブズ『リヴァイアサン』(1651年)

 ホッブズは、自然状態における「万人の万人に対する闘争」を克服するために、人々が社会契約によって絶対的な主権者である国家に服従する必要があると説きました。 シュミットは、ホッブズの思想における「自然状態」と「政治体」の対比を、自らの「敵」と「友」の区別の概念と関連づけて論じています。 シュミットは、ホッブズと同様に、政治を究極的には生命の安全保障の問題として捉え、そのためにこそ「敵」の概念が不可欠であると考えました。

カール・マルクス / フリードリヒ・エンゲルス『共産党宣言』(1848年)

 マルクスとエンゲルスは、歴史を階級闘争の歴史として捉え、資本主義社会におけるブルジョアジーとプロレタリアートの対立が最終的にプロレタリアートによる革命と共産主義社会の実現へと繋がると主張しました。 シュミットは、マルクス主義における階級闘争の概念を、自らの「敵」と「友」の区別の概念と比較検討し、マルクス主義は経済的なものに政治的なものを還元してしまうことで、政治現象の独自性を捉えきれていないと批判しました。

ハンナ・アーレント『全体主義の起源』(1951年)

 アーレントは、ナチス・ドイツとスターリン主義という2つの全体主義体制を分析し、その共通点として、恐怖による支配、イデオロギーによる大衆操作、そして政治の抹殺を挙げました。 アーレントは、シュミットの「政治的なものの概念」を全体主義を正当化する危険な思想として批判し、政治を多元的な意見や利害の調整の場として捉えるべきだと主張しました。

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