Skip to content Skip to footer

シュミットの政治的なものの概念の美

## シュミットの政治的なものの概念の美

美とは何か?

美は、しばしば主観的な経験として捉えられ、客観的な定義を拒む概念です。しかし、カント以来、美は対象の形式的な属性に起因するものであり、見る者に一定の種類の快や満足感を与えるものとして理解されてきました。この意味で、美は対象の形式、調和、バランス、完全性などと関連付けられます。

シュミットの政治的なものの概念

カール・シュミットは、その代表作『政治的なものの概念』(1932年)において、政治的なものを他の社会領域、特に倫理や経済と区別する基準を提示しました。彼によれば、政治的なものは、友と敵の区別、すなわち集団間の根本的な対抗関係によって定義されます。この対抗関係は、究極的には実存的なものであり、集団の存在そのものを賭けた闘争を潜在的に孕んでいます。

シュミットの政治観における美

シュミットは、「美」という言葉を用いて政治を論じてはいません。彼の著作は、政治における美的な側面を称揚するものではなく、むしろ政治の現実主義的な分析を提供することを目的としています。 しかし、シュミットの政治観には、ある種の暗澹とした美しさが内在していると言えます。

対抗と秩序の美

シュミットは、政治的なものが本質的に対立と闘争を含むものであることを強調しています。これは一見、混乱や暴力と結びついた否定的な側面として捉えがちです。しかし、シュミットは、この対抗関係こそが、政治的な秩序とアイデンティティの基礎となると主張します。友と敵の区別によって、集団は自らの存在意義を明確化し、共通の目標の下に団結することができます。 このような視点から見ると、政治における対立と秩序は、相互に依存し補完し合う関係にあり、一種の緊張感に満ちた美しさを生み出していると言えるかもしれません。

決断の美

シュミットはまた、政治の本質を「決断」に求めました。政治的な状況においては、常に不確実性とリスクが伴い、明確な正解は存在しません。指導者は、限られた情報と時間の中で、自らの判断と責任に基づいて決断を下さなければなりません。 このような決断の過程は、困難と重圧に満ちたものであるとともに、同時に人間の主体性と自由意志が最も明確に現れる瞬間でもあります。シュミットは、この決断の瞬間にこそ、政治的なものの本質が凝縮されていると考え、そこに一種の悲劇的な美しさを見出していたのかもしれません。

**注記:** 上記は、シュミットの政治的なものの概念における美についての一つの解釈であり、他の解釈も可能です。また、シュミットの思想は、その全体主義的な含意も含め、多くの論争を巻き起こしてきたことにも留意する必要があります。

Amazonで購入する

Leave a comment

0.0/5