シュミットの政治的なものの概念の機能
友と敵の区別
カール・シュミットにとって、政治的なものは「友と敵の区別」という根本的な概念によって定義されます。この区別は、政治的な共同体のアイデンティティと存在を規定するものであり、他のすべての社会的な区別（経済的、宗教的、道徳的など）を超越するものです。
シュミットは、政治的な共同体は、共通の敵に対する共通の関心によって結びついていると主張します。この敵は、必ずしも具体的な国家や民族である必要はなく、共通の価値観や生活様式に対する脅威となる、あらゆる集団やイデオロギーになり得ます。
友と敵の区別は、政治的な共同体に、その成員を守るために必要な場合、暴力の使用を含む極端な措置を取ることを正当化する可能性も秘めています。シュミットは、政治的なものは、最終的には、物理的な生存の問題に帰着すると考えていました。
国家の主権
シュミットの政治的なものの概念は、国家の主権を強く強調しています。シュミットにとって、主権者とは、例外状態において、友と敵を最終的に決定する権力を持つ者です。
例外状態とは、法秩序が停止し、主権者が、秩序を回復するために必要なあらゆる措置を取る自由を持つ非常事態のことです。シュミットは、例外状態は、政治的なものの本質的な特徴であると考えていました。なぜなら、それは、主権の真の所在を明らかにするからです。
シュミットの主権の概念は、しばしば、全体主義国家の台頭を正当化するために利用されてきました。しかし、シュミット自身は、特定の政治体制を支持していたわけではありません。むしろ、彼は、政治的なものの本質を明らかにしようと試みていただけでした。
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