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シュミットの政治的なものの概念の普遍性

## シュミットの政治的なものの概念の普遍性

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友敵関係の普遍性

カール・シュミットは、その主著『政治的なものの概念』において、政治的なものを定義づける根本的な基準として「友敵関係」を提示しました。シュミットによれば、政治的なものは、他のあらゆる対立関係――例えば、宗教的、道徳的、経済的、美的対立関係――とは異なり、究極的には集団間の物理的な生存をめぐる闘争に帰着しうるという点で、独特の性質を帯びています。

シュミットは、宗教、道徳、経済、芸術などの領域においても、固有の基準に基づいた対立関係が存在することを認めつつも、これらの対立関係は、政治的な対立関係において見られるような、集団の物理的な生存をかけた極限的な対決へとエスカレートする可能性を本質的に孕んではいないと主張します。

彼の議論の核心は、あらゆる集団が、潜在的には、自らの存在を脅かす敵対的な他者と対峙し、場合によっては物理的な暴力を行使してでも自らの生存を確保しなければならないという、人間の社会生活における厳しい現実に根ざしています。シュミットは、歴史的事実を丹念に分析することによって、この友敵関係が、古代ギリシャから20世紀初頭の国際政治に至るまで、あらゆる時代、あらゆる社会において、政治的な現象を規定してきた普遍的な原理であることを明らかにしようと試みました。

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批判と再解釈

シュミットの「政治的なものの概念」は、その発表以来、政治思想史において最も重要な概念の一つとして、多くの学者たちに多大な影響を与えてきました。しかしながら、その一方で、彼の思想は、その理論的厳密さと現実政治における適用可能性をめぐって、数多くの批判と論争を巻き起こしてもきました。

特に、友敵関係の概念を政治的なものの本質的な定義とする彼の主張は、政治を本質的に対立と暴力の論理に還元してしまうものであり、政治における対話、妥協、共存の可能性を軽視しているという批判が、早くから提起されてきました。

さらに、シュミットの思想は、ナチス政権下における彼の政治活動と結びつけて解釈されることが多く、その全体主義的な性格を指摘する声も少なくありません。こうした批判に対して、シュミットの思想を擁護する論者たちは、彼の理論は、あくまでも政治における権力と暴力の不可避性を冷徹に分析しようとしたものであり、特定の政治体制やイデオロギーを正当化することを意図したものではないと反論しています。

彼らは、シュミットの思想を現代社会に適用する際には、その歴史的文脈と理論的な限界を十分に理解した上で、現代社会が直面する新たな課題や問題に照らして、彼の思想を批判的に継承していくことが重要であると主張しています。

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