## シュミットの政治的なものの概念の技法
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友敵論
シュミットは、政治的なものの概念を明らかにするために、友と敵の区別を根幹に据えています。 彼によれば、政治的なものは、他のあらゆる対立関係とは異なり、究極的には「友と敵の区別」に還元されます。
重要なのは、この「敵」は、必ずしも道徳的に悪であるとか、美的に醜いとか、経済的に競争相手であるとかいう意味ではありません。 シュミットにとって「敵」とは、実存的に「我々」の生活様式、存在様式そのものを脅かす、根源的な他者として現れるものです。 そして、この敵との関係においてのみ、「政治的なもの」は、その固有の性格を露わにするのです。
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例外状態と主権
シュミットは、カール・シュミットの国家論において、主権の概念を「例外状態を決定する者」として定義しています。 彼の議論によれば、平穏な日常においては、法律によって社会秩序が維持されており、主権は目に見える形で現れてきません。 しかし、大規模な自然災害や戦争、革命といった「例外状態」に際して、既存の法律が通用しなくなる時、初めて主権は姿を現します。
シュミットは、この「例外状態」において、誰が「友」であり誰が「敵」であるかを決定し、必要とあらば、法秩序を一時停止し、敵に対して物理的な暴力を行使する権限を持つ存在こそが「主権者」であると主張します。 このように、シュミットは、「例外状態」という極限状況における意思決定のあり方に着目することで、「政治的なもの」の本質に迫ろうとしたのです。