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シュミットの政治的なものの概念の対称性

## シュミットの政治的なものの概念の対称性

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友敵の区別と対称性

カール・シュミットは、その主著『政治的なものの概念』において、政治的なものの固有の基準として「友と敵の区別」を提示します。この区別は、単なる政治的立場や意見の対立を超え、実存的な対立の可能性を孕むものです。シュミットは、政治的な敵は「公的な敵」であり、単に私的な敵意や反目の対象ではなく、集団の存在そのものを脅かす存在であると規定します。

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対称性の二つの側面

シュミットにおける対称性は、大きく二つの側面から捉えることができます。

第一に、友敵の区別は、相互的な認識に基づくという点で対称性を持ちます。すなわち、ある集団が別の集団を敵とみなすとき、その逆もまた成り立ちます。敵対関係は一方的なものではなく、相互的な認識の上に成り立つのです。

第二に、友敵の区別は、その強度や深刻さの点でも対称性を持ち得ます。シュミットは、敵対関係が極限に達した場合、それは戦争という形をとると述べています。戦争は、敵対する両陣営が、自らの存在をかけて戦うという点で、究極的に対称的な行為です。

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対称性の限界

ただし、シュミットの対称性は、現実の政治において常に完全な形で現れるわけではありません。

現実には、権力や資源の不均衡が存在し、それが敵対関係の非対称性を生み出すことがあります。例えば、大国と小国の間では、その軍事力や国際的な影響力に大きな差があり、それが敵対関係の性格を左右することがあります。

また、敵対関係の認識やその深刻さの度合いも、必ずしも対称的であるとは限りません。ある集団が別の集団を深刻な脅威とみなしていても、相手側はそれほど深刻に捉えていない場合もあるでしょう。

以上のように、シュミットの政治的なものの概念における対称性は、友敵の相互的認識と、その極限形としての戦争という点で重要な意味を持ちます。しかし、現実の政治においては、権力や認識の非対称性が存在し、それが対称性を歪める可能性も孕んでいる点は留意が必要です。

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