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シュミットの憲法理論の思考の枠組み

## シュミットの憲法理論の思考の枠組み

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1. 決定と規範

シュミットの憲法理論において、最も基本的な区分は「決定」と「規範」です。彼によれば、法は本質的に「決定」であり、政治的な意志決定の結果として生じるものです。これは、法を普遍的な正義や道徳の規範から導き出すという、当時の支配的な自然法思想に対する明確な批判でした。シュミットは、法の根拠は、具体的な歴史的・政治的な状況における主権者の決定にあると主張しました。

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2. 憲法と立憲主義の批判

この決定と規範の区分に基づき、シュミットは、当時のリベラルな「立憲主義」を批判しました。彼は、立憲主義が、法を政治から切り離し、普遍的な権利や自由の保障として位置づけようとする試みであると見なしました。しかし、シュミットにとって、法は常に政治的な意志決定の結果であり、いかなる権利や自由も、最終的には主権者の決定によって制限されうるものでした。

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3. 緊急事態と主権

シュミットの憲法理論において、特に重要な概念が「緊急事態」です。彼は、緊急事態においては、通常の法秩序が機能しなくなり、政治的な決定が不可避になると主張しました。そして、この緊急事態における決定を行う権力こそが、「主権」であると定義しました。シュミットは、「主権者とは、例外状態について決定する者である」という有名な言葉を残しています。

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4. 憲法制定権力と憲法

シュミットは、憲法を、通常の法律とは異なる特別な法的秩序として位置づけました。そして、この憲法を制定する権力として、「憲法制定権力」という概念を導入しました。彼は、憲法制定権力は、既存の法秩序を超越した、より根源的な権力であると主張しました。

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5. 政治的なものの概念

シュミットは、政治を、「敵と味方の区別」として定義しました。彼によれば、政治の本質は、集団間の対立と闘争にあり、法は、この政治的な対立を管理し、秩序を維持するための手段に過ぎませんでした。

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