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シュミットの憲法理論と時間

## シュミットの憲法理論と時間

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時間と憲法制定権

カール・シュミットにとって、時間概念は、その憲法理論、特に憲法制定権の概念と密接に関連しています。シュミットは、憲法制定権を、既存の法的秩序を超越した、政治的な意思決定の最高形式と捉えました。この権力は、新たな憲法秩序を創設する、つまり、政治的な時間における「新しい始まり」をもたらす力を持ちます。

シュミットは、憲法制定権を行使する主体である「構成主体」を、法的に拘束されない、政治的存在として理解しました。この構成主体は、既存の憲法秩序に拘束されず、自由に新しい憲法秩序を創設することができます。この意味で、憲法制定権は、時間を断絶し、新しい政治的な時間の流れを創り出す力を持つと言えます。

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憲法と時間的展開

シュミットは、憲法を、単なる法規範の集まりではなく、政治的な決定の産物、すなわち、特定の時点における政治的な意志決定の結果として捉えていました。憲法は、憲法制定権の行使によって誕生し、その後の時間的展開の中で、解釈や運用を通じて変化していく可能性があります。

しかし、シュミットは、憲法が、制定時の政治的な意志決定からあまりにもかけ離れたものへと変化してしまうことを警戒していました。憲法は、政治的な時間における「現在」と結びついているべきであり、過去の決定に縛られることなく、時代の変化に対応していく必要があると彼は考えていました。

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非常事態と時間

シュミットの憲法理論において、時間概念は、特に「非常事態」の概念と密接に関連しています。非常事態とは、既存の法的秩序では対処できない、国家の存続を脅かすような例外的な状況を指します。

シュミットは、非常事態においては、通常の法秩序が一時的に停止され、主権者が例外的な措置を講じることが正当化されると主張しました。この主権者の決断は、既存の法的秩序を超越したものであり、新たな時間的状況を生み出す可能性があります。

シュミットは、非常事態における主権者の決断を、法的に拘束されない、純粋に政治的な意思決定として捉えていました。この決断は、既存の憲法秩序を根本的に変える可能性があり、その意味で、政治的な時間の流れに大きな影響を与える可能性があります。

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