## シュペングラーの西洋の没落の技法
形態学的比較
シュペングラーは、歴史を分析する上で独自の形態学的比較を用いています。これは、個々の文化を有機体になぞらえ、発生、成長、衰退、死というライフサイクルを持つものと捉える考え方です。彼は、エジプト、バビロニア、ギリシャ、ローマ、西洋など、歴史上に出現した主要な文化を、それぞれ独立した有機体として捉え、その発展段階や特徴を比較検討しました。
文化の共時性
シュペングラーは、異なる文化が同じような発展段階を経るとは限らないと考えていました。それぞれの文化は独自の「魂」を持ち、独自のペースで発展していくという考え方です。彼は、文化同士が影響し合うことはあるものの、ある文化の要素を別の文化にそのまま当てはめることはできないと主張しました。
象徴主義とメタファー
シュペングラーは、歴史や文化の本質を表現するために、象徴主義やメタファーを多用しました。例えば、「文化」と「文明」という対比は、彼の思想を象徴する概念です。「文化」は、創造性や精神性に溢れた発展段階を指し、「文明」は、物質主義や合理主義が支配的な衰退段階を指します。
広範な知識の動員
シュペングラーは、歴史、哲学、芸術、数学、音楽など、多岐にわたる分野の知識を動員し、独自の文化論を展開しました。彼は、各文化における芸術様式や建築様式、宗教観や倫理観、科学技術などを比較検討することで、文化の深層にある精神構造を明らかにしようと試みました。
歴史の周期性
シュペングラーは、歴史は循環的に繰り返すというよりも、それぞれの文化が独自のライフサイクルを持つという考え方を示しました。 彼は、歴史は直線的な進歩ではなく、各文化の誕生、成長、衰退、死という周期の繰り返しであると主張しました。